お囃子のお話〜桂三四郎の足跡
今日は繁昌亭の夜席に久々に出演したのだけど気づいたことがある
お囃子の重要性についてだ
落語家はみんなそれぞれ出囃子というものを持っている。
例えば
三代目春団治「野崎」
や
六代桂文枝「本調子中の舞」
まあいうたら入場テーマ曲やねんけど、これがどういうタイミングで決まるかはよくわかっていないのだ
一説にはお囃子の師匠が
「あんたにはこれが合うで」
といって決めてくれるとかなんとか
ほかにも先輩が使っていた出囃子を譲り受けたりという場合もある
「別に出囃子なんてなんでもええやん」
そう言う意見もあるかもしれないが
やっぱり舞台に出るときは気分の乗る出囃子で出ていきたいものだ
ちなみに僕の出囃子は
タイマーズの
「デイ・ドリーム・ビリーバー」
あんまり明るい歌詞じゃないねんけどメロディが好きなので使っている。
この出囃子はもともと僕が一番可愛がってた後輩が2つ目の出番の時にリクエストしたもので、めちゃくちゃセンスいいな〜
とすごく印象に残ってた
しかし、残念ながらその後輩は志半ばでこの世界を去ってしまった。
その後輩の意思を受け継いでっていうのはおかしいけど
なんかそいつがこの世界に残したもんが1個ぐらいあってもええんちゃうかな
そういう思いもあって使っている
普通は古典の出囃子(長唄なのか小唄なのかよくわらない)を使うのだが、僕は自分自身が好きでもない上によく知らない曲を使うのはなんとなく嫌なんで、お囃子さんに無理いってこの音の取りにくい弾きにくい曲をいつもひいてもらってる。
お囃子さんでもリズムが取りにくい曲はもちろん叩きにくい
太鼓を叩いてくれる人も、もちろん上手い下手があるので
たまにくちゃくちゃになってしまう時があるのが悩みだ。
僕は見かけによらず太鼓がそこそこうまい方なので、下手な時はなんか気になる。
気にしないタイプに見えるが実は結構繊細なのだ・・。
しかし、今日はその全く逆のことがおこった
お囃子のお師匠さんは、僕とよく一緒になることが多く、この出囃子を一番弾いてる人で前奏からサビまでの長さまで文句のつけようのない方
そして太鼓は、先輩の桂しん吉兄さんが叩いてくださった
しん吉兄さんは落語はもちろんのことだが笛、鳴り物も名人クラスのかたで
文句のつけ所のない三味線と名人の太鼓で
出囃子聞いたとたん気持ちがぐっと上がった
自分の出囃子がきちっとハマるとこんなに気持ちよく舞台に出れるのか!!
思わず
「もうちょっと聞いておきたいな〜」
といってしまったくらいだ・・。
えらい師匠の独演会はたいがい三味線の方は決まってる
やはり自分の芸を最大限に引き出してくれる囃子というものを大事にしているのだろう
東京の落語会は残念ながら生のお囃子を入れていないのだけど
規模が大きくなってきたら大阪からお囃子さんをお呼びしよう
お囃子の大事さに気づかせてくれた、しん吉兄さんそしてお囃子のお師匠さんありがとうございました!!
2013年桂三四郎のブログより